kamauchi hideki

main site
Flickr
weblog

mail to :
kamaneko@kpb.biglobe.ne.jp

ガリョウテンセイ

小学生の頃、僕はわりと絵が上手かった。
田舎に帰った折、親戚のおじさんが若い頃描いたという映画スターの似顔絵(きちんとしたデッサン)を見て対抗心を燃やした小学校6年生の僕は、手近にあった雑誌に出ていた仲代達矢の写真を見てノートに鉛筆でデッサンした。
かなり時間を掛けて、自分では上手く描けたと思ったが、それを見た祖父が「あかんぞその絵は。眼が死んどる」と言う。いやそんなことはない、どこから見ても仲代達矢そっくりの、ちゃんとしたデッサンではないか、と僕は納得がいかない。
「学校でガリョウテンセイって言葉を習わんかったか? なんか上手く描いたような絵やが、眼がな、死んどるわ。そこがいかんわ」
た ぶん絵の技術的なことなど祖父にはわからなかっただろうが、おそらくその仲代達矢の絵には、半端な器用さに慢心したクソガキのいやらしさのようなものが滲 み出ていたのだろう。技術的に眼の輝きが描けていない、とかいう話ではなく、そういう幼稚な驕りのようなものをたしなめられたのだと思う。
当時はわからなかったが、今ではそう想像がつく。