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薬棚には薬が必要


島田紳助の司会でやってる『深イイ話』(日テレ)を、半分アホらしいと思いながらもたまに観ている。
アホらしい、というのは、出展のはっきりしない話を視聴者からの公募で集めてたれ流しで放送して、なんか責任逃れをしているようなユルさに対しての批難である。

たとえばスナフキンが「人を崇拝しすぎちゃいけないよ。かえって自分の心が不自由になるから」なんてセリフを言った、う~ん、深くてイイ話だ、心のレバーをグイッ・・・まぁ、スナフキンのこのセリフはたしかに良いけれど、どうしてこれを視聴者からの投稿という形で伝えねばならないのか。どうせ伝えるならば、このセリフは第何回のムーミンアニメの第何話で、もしくはトーベ・ヤンソンの原作の第何巻で、どういう場面でスナフキンが誰々に向かって言ったセリフである、というフォローは当然必要だ。

ある逸話を、どの文脈で、どういう切り取り方で伝えるか。やりようによっては原作者の意図をねじ曲げる結果になることもあるだろう。いや、意図してねじ曲げるくらいテレビ局の常套手段なのであるから、そういう部分を「視聴者投稿」に責任転嫁するやり方が、どうにもこうにも腹が立つのだ。
ていうか、本当に視聴者投稿なのか? とまで勘ぐってみたりもして。

まぁ、出てくる話が実にたわいもない話ばっかりなので今のところブーブー文句を垂れるほどのこともないのだけれども。

しかしこの前、この番組で不覚にも黒澤明ネタで感動。
『赤ひげ』撮影中に、セットの薬棚(引き出しの中は外から見えない)に、ちゃんと薬を入れていないじゃないか! 撮り直せ! と黒澤明が怒ったという話。
川合俊一の「ああ、わかるわかる。バレーの試合でも、どんなに走っても絶対に追いつかないってわかってるボールにさ、無理だってわかっててもチームメイトが走っていって、頭から行って、やっぱり全然届かない、とかあるわけですよ。あいつ絶対に届かないのに頭から行っちゃったよ、てのが、同じチームの人間のテンションをぐわーっとあげちゃうわけですよ」という熱血フォローも妙に合ってたし。

こんな番組に感銘を受けてよいのか、と若干苦々しく思いつつ、画面に映ろうが映るまいが、薬棚には薬がなくてはいけない、という黒澤明に、思わず心のレバーを前押ししてしまった私だ(完敗)。
僕は別に黒澤明の熱心なファンではないけれど、もう一度代表作全部見直してみようか、なんて思いましたもん。

話を写真に置き換えて考える・・・・なんてことはしない。川合俊一以上の比喩を出せる自信がないから(笑
でも「薬棚には薬がなくてはいけない」なんて、ふと気がつけばつぶやいていたりして。

そうだよねー。薬棚には薬が必要なんだよ。ぶつぶつ。ぶつぶつ。

(kamauchi BBS)